契約書に数字を書くときのお作法
始めて契約書を書く時は、ひな型をダウンロードして参考にするとよいですが、
それでも、最初は「何が正解か」「どこまでなら変えてもよいのか」
が分からず、戸惑います。
そこで、この記事では日付、金額、条項号の数字書き方を説明します。
契約書の日付をあいまいにしない
日付ははっきりと!。
「令和3年7月1日」といったように記入します。
契約締結日の日付を書き忘れている契約書、結構よく見ます。
契約が始まっていないと解釈される可能性があるので、
トラブルになる可能性があります。
それから「令和3年7月吉日」といったあいまいな表現では契約書が無効になるケースもあります。
これも気を付けてください。
契約書と少し違いますが、借用書を書く場合は、返済期日を必ず書きましょう。
契約書に記載する金額の正しい書き方
印字書類の場合は、アラビア数字でも漢数字でもどちらでもいいですが、
読みやすいアラビア数字を採用する例が多いです。
(手書き書類の場合は後述します)。
アラビア数字:1234567890
漢数字:一二三四五六七八九十
アラビア数字の場合、全角でも半角でもどちらでも構いません。
ただし、契約書内では数字の半角と全角は統一したほうが美しく仕上がります。
金額の前には必ず日本円を表す「¥」を、金額の後ろに小さく横棒を入れます。
例を出すと、「¥1,000,000-」といった書き方です。
手書きで金額を書くときは、漢数字と大字を使う
現在は、契約書を手書きで書くことはほぼないですが、それでも
借用書については、手書きで書くときがありそうです。
契約書に手書きで数字を記入するときは、文字を改ざんされないように、金額を漢数字で記入します。
そして、漢数字の中でも、特に改ざんしやすい簡単な画数の文字は、普段と違う別の書き方をします。
この普段と違う書き方の漢数字のことを大字(だいじ)ともいいます。
一→壱
ニ→弐
三→参
五→五または伍
十→拾
百→百または陌、あるいは佰
千→千または阡、あるいは仟
万→萬
金額は、端数まできっちりと書きます。
間に数字を入れられないように、詰めて書きましょう。
「金」からはじまり、最後に「円」をいれます。
例を出すと、10万円は、「金壱拾萬円」といった書き方になります。
漢数字について、さらに詳しくは、こちら(Wikipedia)を参照してください。
契約書の条項号の数字は?
契約書の段落は、順番を整理するときに、法律文書の書き方にならって数字をいれます。
大きいくくりを条、それ以下の小さいくくりを項といいます。
項の中で、箇条書きにするものは号といいます。
条→大項目、項→中項目、号→小項目
といった分類をしているのです。
条
条文は、第1条、第2条(又は、第一条、第二条)と箇条書きにします
項
項には数字を振ります。
箇条書きにした各条文の中で、2項目以上のことを含んでいる場合、
1項目目の「1.」は不要ですから省略します。
2項目めからは、「2.」と数字を振ります(第2項と読みます)
下の見本を参考にしてください。
号
号について箇条書きで列記する場合には漢数字を使うとされていますが、契約書では(1)、(2)とするのが読みやすくておすすめです。
これも下の見本を参考にしてください。
構成の見本
構成としては以下のようになります。
この例では、第2条第2項の中に(1)と(2)の2つがあり、この2つをそれぞれ第2条第2項1号、第2条第2項2号と呼びます。
第1条 △△△△△△△
第2条 △△△△△△△
〇〇〇〇〇〇〇〇
2.〇〇〇〇〇〇〇〇
(1)・・・・・・・
(2)・・・・・・・
上の例では「第2条」に「1.」の数字が見当たりません。
もう一度説明しておきましょう。
法律文書だと第1項の数字を省略するので、
契約文書もそれにならって第1項の数字を省略しているのです。
契約書入門といった書籍では、このような書き方が多いです。
しかし、実務ではこのような書き方は少数派になってきました。
第1項にあたる「1.」を省略すると「数字が抜けていますよ」と指摘されることも多くあります。
そういった指摘を避けることや、見やすくする目的で、第1項に「1.」の数字を記入してもよいでしょう。
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