この記事では「契約書をスキャンしたものが有効かどうか」について書きます。
結論をいうと、PDFに電子署名をして、相手方の担当専用メールアドレスに直接メールした契約書は、完全に有効です。
しかし、契約締結後に原本をPDF化して保存したものは有効とは言えません。
契約締結後に、契約書をスキャンして保存しているものは、有効とはいえない
民法には「契約自由の原則」があります。
契約は、当事者が自由に締結できるのです。
ですから、
「捺印した文書をPDFでスキャンして、企業側にメールで添付送信した」という契約の方法で、契約は有効となります。
電子メールを送ったことも法的な証拠となります。
欧米ではこれで済ませたりしている例が多く見られます。
メールの送り先も、できれば、契約に携わる本人専用のメールアドレスに送ることです。
これに第三機関の電子署名がされているものだと、さらに確かな法的証拠となります。
しかし、「PDFが残ってさえいれば、法的に争えるか」となると話はべつです。
紙の契約書を原本としてとり交わし、その原本をあとから
契約合意したものを保存し、原本を捨てると、問題です。
たいていの紙の契約書には最後に「上記契約の証として本証書2通を作成し、甲乙各1通を保管する。」
と書いてあります。
この約束をやぶり、PDF化したものを契約締結の根拠として争うことは難しいです。
契約書をスキャンしても捨ててはダメ
たとえばクラウドサインは、契約書をスキャンする代行サービスを始めます。
https://www.cloudsign.jp/features/scan
契約書の検索、日付管理を容易にするのが主な目的であり、
スキャンしたからと言って、原本を処分していいわけではありません。
契約書の原本をなくしてしまったからと言って、契約が無効になることはありません。
口頭での約束でも、契約は成立します。
しかし、原本をなくしてしまったら、
契約書に書かれていた内容どおりの履行がなくても裁判などに訴えることができなくなります。
もしなくしてしまったら、再度契約書を作り直すことになります。
スキャンして捨てていいものもある
法的な書類についてはPDF化は「何のために」保存するかをよく考えておきましょう。
どうか原本を捨ててしまいませんように。
逆に言うと、原本を保存しておく必要がない「資料」については、スキャンして電子化していれば、紙の方は処分してもよいことになりますね。
弊所のような個人事業ですら、紙の資料は膨大です。
本記事は、2018年04月01日公開時点での情報です。ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。
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