今はピアを行動の指針にすることはなくなりましたが(ピアさんゴメン)、昔はピアが重要な情報源でした。
ピアがもてはやされた当時、九州に住んでいた僕も、ピアを見てどこに行くのか決めていた時期があります。
映画についても、ピアに頼っていた時代がありました。ピアはとにかく褒める文章を書くので、「面白くない映画にであったら、ピアを見ろ、徹底した批判精神の欠如は、感動すら覚える」なんて言葉がありました。
それは、半ば悪口だったかもしれませんが、わたしはピアのその姿勢に悪い気はしなかったのです。
面白くなかった映画を、「面白くない」と吐き捨てるのは気持ちよいのかもしれません。が、表現としてはあんまり面白くありません。
関根勤さんは、できの悪いカンフー映画を、「うわー、動きおっそー」と楽しみます。
題材が何であれ、楽み方は作り出せます。
面白い映画は、否応無しに引き込まれます。その時間は幸せなものかもしれませんが、ひょっとしたら、自由ではないのかもしれません。
その反面、面白くない映画こそ、どのように楽しむかのクリエイティブが発揮できるんではないかなと思います。
観るのをやめるのも自由だし、突っ込みどころを探すのも自由だし、チョイ役の可愛い子をひたすら探すという見方もあります。
知らない土地に憧れを抱くという見方は、映画の中ではポピラーな、外れた観かたなのかもしれません。
すごく長い前置きを置いて、さあ、今日見た映画、ザ・ウォールです。
面白くありません。ただただ緊張感の映画です。
そして、ここまで偉そうに書いておいて、わたしは途中で見るのをやめたのです。
それが自由。それが映画。
さあ、次の映画を観ましょう。