心理学 経営

経営の悩み・ストレスをいなす経営者のためのメンタルヘルスケア


会社の経営では、様々なストレスが襲い掛かってきます。
それは個人経営でも同じです。

経営者の悩みをランキング表にすることもないですが、
最も多いのは資金繰りで、次に多いのは人間関係です。
銀行以外の債権・債務、進まない仕事に思い悩むのことも、人間関係に含めていいと思います。

こうしたことに思い悩むことが、ときに、こころの健康を害することがあります。
そうしたことに対処する方法をご紹介します。

まず、メンタルヘルスおよびメンタルヘルスケアとは?

「メンタルヘルス」とは、こころの健康状態を意味します。

そして、厚生労働省がいうところの「メンタルヘルスケア」とは、
「事業場において事業者が講ずる労働者のこころの健康の保持増進のための措置」のことです。

要するに、従業員のメンタルを保つために、車内で取り組んでいることをメンタルヘルスケアといいます。

経営者は従業員よりもメンタルヘルスに問題を抱えやすい

経営者には人を人とも思わない方がいますが、そんな方はごく一部です。

経営者も人なので、メンタルは弱いです。
死にたくなるときも、他の人生よりは多くなるかもしれません。
そんな経営に取り組んでいることを、私は共感し、尊敬します。

厚生労働省の目標として掲げる指標は次の通りです。

メンタルヘルス対策の推進【目標】
● 仕事上の不安、悩み又はストレスについて、職場に事業場外資源を含めた相談先がある労働者の割合を90%以上
● メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上
● ストレスチェック結果を集団分析し、その結果を活用した事業場の割合を60%以上

【出典:職場における心の健康づくり
~労働者の心の健康の保持増進のための指針~】

しかし、ここには経営者自身のこころに関してケアをする視点が欠けているように思います。

経営者は、従業員よりも相対的に立場は強くなりますが、だからといってストレスを受けにくいかということ
そんなことはありません。

むしろ、従業員や関係する取引先、それらに関係する家族や知人など多くの人に影響を与えるのが経営者です。

簡単に降りることができない仕事であり、そのぶん受けるストレスも強くなります。

経営を続けられる経営者はメンタルケアを重視している

僕も自分の事務所を経営する立場であるし、それからその前もWEB系のフリーランスとして14年間仕事をしていたので、
たくさんの経営者と知り合ってきました。

お付き合いする中で、長く続けて頑張っていらっしゃるかたは、メンタルをしなやかにする工夫をしていることがわかります。
意識してそうしているかは、わかりません。

そうした経営者の方に特徴的なものは次の3つです。

  1. 他のことを考える時間をもつ
  2. 体を動かす時間をもつ
  3. 規則正しい生活をする

1.他のことを考える時間をもつ

他のことを考える時間をもつというのは、仕事以外に楽しみを持つという事です。

「趣味を持ってください」というとそれ自体ストレスを感じる方がいるかもしれません。

そうでなく、仕事を離れた楽しみを持つという事です。

ここで、コーピングという方法をご紹介します。

コーピングとは、仕事の合間にストレスを緩和する行動を挟むことで、ストレス要因の負担を減らす対処方です。

仕事がが生命に直結する、宇宙飛行士もこの技法を取り入れているそうです。

コーピングとして取り組む行動は、リストにしておいて選べるようにしていると効果が高いそうです。

「この仕事を終えたら飲みに行く」というご褒美もそうですが、もっと小さなものでも、大きなものでもいいのです。

たとえば僕は、近くの鳥を観察する、散歩する、外食する、コーヒーを飲む、本を買う、ライブに行く、瞑想をする、Audibleを聴くといったものをリストにしています。

職場で取り入れている企業も多いと思いますが、経営者にもぜ取り入れてほしいです。

取締役や、個人事業主には就業規則がないので、意識的に挟む必要が出てくると思います。

2.体を動かす時間をもつ

体を動かすことも重要です。

仕事がら、士業やエンジニア、デザイナーといった方の知り合いが多いのですが、みな一日中座っており、このことが大きくメンタルも影響を受けていると思います。

そんな生活では、調子を崩しやすいです。

ゴルフに行く経営者もいますし、フットサルをする経営者もいます。

精神科医の樺沢紫苑先生は、朝散歩して日光を浴びるとセロトニンが分泌されることを、もう1000回くらい発信しています。
こころをしなやかにするのに、セロトニンは必要なホルモンだそうです。

体を動かし、日光を浴びるというのは、メンタルを上向かせます。

人間のホルモンを分泌する働きはすべて年をおうごとに衰えてくるので、
僕が思うに、30代、40代で通用した働き方は、50台で通用しなくなると思います。
体も意識して伸ばさないと、柔軟性がなくなります。

実感としてお伝えしますが、ある程度息が上がる運動をしているときの方が、実生活のストレスもそんなに気にしないメンタルを保つことができます。

そのため、意識して体を動かすことが重要になってくるのです。

3.規則正しい生活をする

これは食生活と、睡眠の両方ですが、規則正しいことがメンタルを保つコツだと思います。

このあたりのことはいわずもがなですし、先ほど紹介した樺沢先生のコンテンツを参照していただければと思いますが、

1週間のスケジュールを、たとえ崩れると分かっていても、日曜に立てた方が精神の健康は保てるように思います。

メンタルが一番ダメージを受けるのは、他の人に振り回される時間が長いことです。

一度主体的にスケジュールをたて、「それでもスケジュールどおりにいかないな、どうやって調整しようかな」
と考えている方が、1週間を毎日場当たりで動いていくよりも圧倒的に自分で考えた時間を生きている感じがして、
自己効力感が上がるように思います。

不調のサインに気づくことの大事さ

朝、自分の体を点検する時間をもっていると、不調になりにくいです。

朝、眠り足りないとき、気力がわかないとき、楽しみがないとき、どこかがこっているときは、もう調子を崩し始めていることのサインです。

樺沢紫苑先生は、「メンタルの不調には時差がある。頑張りすぎてメンタルが崩れるのは、3カ月以降の後になってから」といっています。

ホルモンのバランスは短期に崩れず、3カ月~1年くらいの中期的なスパンで減少することと関係しているように思います。

知り合いの中には寝る時間もなく働く社長がいましたが、それでも、不調を取り除く一番良い方法は寝ることです。

経営者がメンタルを病む実情とは

経営者は相談する人がほとんどおらず、また、クリニックなどの医療機関にかかることも人目が気になってできません。

相談料を気にする方もいるかもしれません。

そうした「誰にも言えない」状態が、よけいメンタルに悪影響を与えます。

実は相談する方は実際にはたくさんいて、たとえばZoomで誰にも言わずに診療できる心療内科、クリニックがあります。

経営についても、無料で受けられる公的機関も多くあります。

そうした情報を提供しようとおもい、僕は過去に『経営者の「お金・健康・雇用」お悩み相談所: 人には言えない悩みを抱える社長のトラブル対処法』という本も書いていますので、良かったら参考にしてください。

誰かと繋がる大切さ

本の一部を紹介すると、たとえば、資金繰りや売り上げが上がらないことは、よろず支援拠点で相談できます。国がやっていて、無料です。

倒産に関しては弁護士に相談するのがいいです。弁護士は「いよいよ倒産が決まった!」というときでなく、「ひょっとしたら2割の確率で倒産するかもしれない」という状態で相談する方がうち手が多いと言われます。

メンタルに関しては、「Zoom 診療クリニック」などで検索してみてください

そして、社員や経営陣とのトラブルは、弁護士と社労士も兼ねている法律事務所への相談がよいでしょう。

経営におけるメンタルの意識改善を

大事なのは相談先を知っておくこと、調子を整える工夫を、調子が悪くなる前から続けることです。

振り返って、大切だと思えることは次の内容です。

  • 他のことを考える時間をもつ
  • 体を動かす時間をもつ
  • 規則正しい生活をする
  • 相談相手を作る

経営者に、メンタルトレーニングがあるとすれば、規則正しく生活するなかで、立ち止まって考える時間、瞑想・アファメーション・感謝する時間、読書の時間を取り入れることですが、
そのことはまた別の記事で書こうと思います。

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