こんにちは、IT行政書士の坂本倫朗(@sakamotohitori)です。
今回は、「経営難に陥る会社には共通点がある」という話です。
資金繰りを良くしたいとお考えであれば、この記事で紹介していることとは逆のことをしていけばいいですよ。
経営難に陥る会社の「負け要素」
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」
というのは野球の名将、野村克也氏の言葉ですが、
経営についても、経営難に陥る会社には共通する特徴があるようです。
資金繰りで、つまづいてしまう会社の共通点は、次のようなものです。
- どんぶり勘定で経営している
- 会計を人まかせにしている
- 事業計画を立てていない
- 地方銀行、信用金庫とお取引がない
- 税理士に質問しない
それぞれを詳しく見ていきましょう。
どんぶり勘定で経営している
どんぶり勘定というと、「1,000円単位は気にしない大雑把な商売」という印象ですが、
私の考えは少し違います。
「日頃は銀行の残高だけを気にしていて、営業成績を把握していない」という経営状態も、
どんぶり勘定であると言っていいと思います。
社長は、一カ月に一回は、習慣として
「いくら儲かったか、何がどれだけ売れたか、 儲かっていない不採算な部門はないか」を把握することが大事です。
どれくらい儲かったかを、確定申告の決算書が出来上がったときにだけ確認する社長は、
黄色信号が灯っている状態です。
これは、個人経営においてでも同じです。
毎月チェックして、不採算部門については、
(1)改善の手を入れるか、(2)取扱いを止めてしまうか、
早め 早めに考えていきます。
そうでないと、確定申告の後「気づいたら消費税が払えません」という状況になりかねません。
事業計画をたてていない
今現在の財務状況を把握するのは、めんどくさいかもしれません。
でも、なぜやる気にならないのでしょうか?
ひょうっとしたら、会社の経営について夢や目標を持てないからではないでしょうか。
たとえ日々の仕事に追われて、毎日いっぱいいっぱいだったとしても、
半日、できれば一日、静かな時間を作りましょう。
その時間で、会社の経営理念を定め、それを下地にした事業計画を作り、
具体的な5年間の数字目標を作っていきます。
経営コンサルタントの神田昌典氏も、「白紙とペンを持って、部屋にこもる。この半日の作業が、もっとも収益率が高い。」
とおっしゃってます。
毎日やみくもに歩き回るのではなく、登山する山を決めて登るのです。
会社の存在意義と、それに従った目標と計画を定めて山を登り始めたら、
今何合目にいるのか、自然と数字を見て確かめたくなります。
めんどくさがって数字を見ない日々過ごすよりも、そっちの方が楽しいと思いますが、どうでしょうか?
会計を人まかせにしている
私は、社長さんに、税務に詳しくなってほしいとまでは思っていません。
しかし、「損益計算書」「貸借対照表」「キャッシュフロー計算書」の財務三表については、
社長さんもパッと見てわかるようになってほしい。
数字を見るのに慣れ親しんでほしい。
そんな希望を持っています。
会計を人まかせにして怖いのは、経営判断を感覚でしてしまうことです。
たとえば、「魅力的だな」と思えるお誘いを受けた場合を考えてみましょう。
友人から「人気の〇〇〇シティーのフロアに空きができるんだけど、出店しないか?
通常より安く貸してもらえることになっている。すぐ返事が欲しい」
という電話をもらいましたとします。
あなたなら、どうしますか?
いうまでもなく、こういったお誘いにとびついてしまうのは、危険です。
永く事業を継続していくには、数字に強くなくてはいけません。
さっきような出店の提案をうけ場合、すぐには判断せず、
「誰に、何を、いくらで売るのか?」を冷静に判断する必要があります。
「そこには、自社の商品を買うような人が訪れるているだろうか?」
「自社の商品は、その場所にふさわしいだろうか?」
これらは、会計データや市場の調査である程度予見できます。
数字に親しんでいないと、「今だけ」「あなただけ」「特別価格」という魅力に負けて、
感覚的に判断してしまう可能性があります。
ぱっと飛びついて、あとから調整すればいいやという考えは、投機(=ギャンブル)と同じになってしまいます。
地方銀行、信用金庫とお取引がない
法人設立時に、メインバンクを「みずほ銀行」「三菱東京UFJ銀行」「三井住友銀行」「りそな銀行」「埼玉りそな銀行」
などのメガバンクにする経営者がいます。
大事業を始めるのなら、それでもいいでしょうが、
小規模な事業を始めるのであれば、メインバンクは、 地方銀行と、信用金庫をお勧めします。
小規模事業者が融資を受けやすいのは、地方銀行と、信用金庫です。
そして、銀行は、融資を受ける前提で選びましょう。
メガバンクにとっては、融資額が少ない取引は魅力がないのです。
口座を2つ持って メガバンクの口座で売上を管理し、地方銀行や信用金庫の口座で支払いを管理するというのであれば、
それでもいいのかもしれません。
地方銀行と、信用金庫はたくさんあるので、ご自身の地元で検索してみてください。
私の地元である東京都板橋区だと、信用金庫には巣鴨信用金庫、城北信用金庫などがあり、
地方銀行には、東京スター銀行、きらぼし銀行などがあります。
税理士に質問しない
税理士はお金のプロという印象を持たれているかもしれませんが、正確に言うと税金のプロです。
忙しい税理士ほど、税金の面倒しか見てくれず、経営にはアドバイスをしてくれません。
見る暇がないからです。
もちろん税金の面倒を見てもらえるだけでも大きな価値があるのですが、
出来ることなら、経営の相談にのってくれる税理士を探しましょう。
実は、経営の相談にのってくれる税理士は、貴重です。
税務だけでも食べていけるからです。
税理士さんにとっても、経営の相談にのるには、別の勉強が必要となります。
今、社長が依頼している税理士さんが、経営相談にのってくれるかどうかは、
質問してみないと分かりません。
こういったことを聞いてみるといいです。
- 「資金繰りをよくするにはどうしたらいいか?」
- 「融資の相談にのってもらうことはできないか?」
- 「 事業計画の相談にのってもらえないか?」
- 「 使える補助金があればおしえてもらえないか?」
ある程度答えてくれる税理士さんを大事にして、
経営計画の作成について相談にのってもらえるのであれば、助けてもらうといいでしょう。
(相談は、きっと有料になるでしょうけど)
まとめ
この記事では、資金繰りが苦しくなる会社の特徴として、次の5つを紹介しました。
ですが、この記事で一番大事だと思うのは、「事業計画を立てること」です。
そして計画を立てるためには、会社の経営理念を決めることが大事です。
そうした経営理念に支えられると、経営の数字を見ることも、きっと苦痛じゃなくなると思います。