「内向型人間のすごい力」の本
アドラー心理学・ヒューマン・ギルドの岩井俊憲先生が、『内向型人間のすごい力 ー 靜かな人間が世界を変える』という本を紹介されています。
http://blog.goo.ne.jp/iwai-humanguild/d/20170112
[amazonjs asin="4062816350" locale="JP" title="内向型人間のすごい力 静かな人が世界を変える (講談社+α文庫)"]内向的・外向的という分類方法を持ち出したのはユングの「タイプ論」が最初のようです。
私の少年期は、そして外向的であることが国際標準と信じる空気があり、
米国人に対して物怖じしない日本人を英雄として写す映画がありました。
しかし、文化は、内向的な人間が作ります。
フランス、タイなどの外国でもてはやされる「クールジャパン」は内向的な人間のエネルギーで成り立っています。
2016年のオリンピック・パラリンピック閉会式で賞賛を浴びた2020TOKYO SHOWのプレゼンテーションも、菅野 薫や、ライゾマティクス真鍋大度という、一見控えめな印象の才能なしでは成り立たなかったように思います。
漆職人などの優れた日本の職人芸も、内向的な人間によるものです。
本書の「内向的な人間のほうが優れている」という言葉については、「それは違うだろう」と突っ込みたいですが、
本文中の内向的な人間に大きな価値があるという言い切りに、内向的な私は勇気をもらえます。
気質、性格、人格についての定義
岩井先生が指摘しておりましたが、本文中の「人格」と「性格」の言葉の使い方があやふやです。
大学の一般教養・心理学で習って以来なので、改めておさらいしてみます。
種類とその語源
大学の心理学講義では、「人格」と「性格」さらに「気質」を教わりました。
【気質】=「英語:Temperament(テンプロメント)」
・・・「混ぜ合わせる」というラテン語を由来とする言葉。様々な要素で構成される性格の基礎に当たる部分。
遺伝的、体質的に規定されていると考えられており、先天的な感情の傾向を表す。
【性格】=「英語:Character(キャラクター)」
・・・「刻み付ける」というギリシャ語を由来とする言葉。本来変わりにくいものという意味から「性格」と訳される。
【人格】=「英語:Personality(パーソナリティー)」
・・・「仮面」というラテン語を由来とする言葉。舞台などで使われる仮面を意味し、状況に応じて脱いだり変えたりできる。すなわち変わりやすい性向が「人格」と訳される。
定義=真実ではない
先ほどの分類でいうと、気質>性格>人格となります。
心理学では、左のものほど、「生まれ持っている部分で、変えにくい」ということになります。
もともとは、心理学が「科学でありたい」という願いと、
心も分類して科学として扱えるはずだという希望から、このような分け方が生まれたのですね。
しかし、先の本にあるように、現在はあやふやになってます。
人によっては、性格と人格をまとめたものを「性格」とよんでいます。
最近は、人によっては気質・性格・人格の3つを全部ひっくるめてPersonalityと表現することもあるようです。
さらに混乱する原因になっています。
そして、ここからは、私の意見です。
これを読む皆さんにわかってほしいのは、
上記の3つの分類があるからと言って、
「心理学の教科書がそういっているんだから、それが真実なんだ」とは考えないでいただきたいということです。
これらは、無理くり分けられた分類であり、「じゃあ具体的には、私のどの部分が気質で、どの部分が性格なの?」
といったことには答えられません。
あなたも、答えられないはずです。
そう、結局、こんな風に分けるのは、現在は失敗しています。
このへんは心理学の残念な部分です。
それでも、「心を科学しよう」と、意欲的に取り組んだ結果です。
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