サービス利用規約作成で代行を依頼するときに注意するポイント

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私は行政書士であり、IT契約書作成のミカタというウェブサイトを窓口にして、
ウェブサービスの利用規約作成を代行しています。

ですが、私の前職はエンジニアで、以前は作成を依頼する側の人間だったのです。

今回は、利用規約を作成する側と、依頼する側の両面から見て、
「利用規約の作成を代行するときに、注意するポイント」を、書いてみようと思います。

技術的な理解ができない人に、ウェブサービスの利用規約を作ることは難しい

良い利用規約は2つの側面があります。

・法律的に穴のない文章になっていること
・ウェブサービスに合わせた内容になっていること

一般的には、法律的な文章を書くことはハードルが高く、難しいことのように思われるかもしれません。
しかし、法律的に穴のない文章は、契約書等の作成経験があれば、その知識を使って書けそうです。

実は、法務家にとって難しいのは、そのウェブササービスに合わせた利用規約にすることです。
ウェブササービスに合わせた内容にするためには、
そのウェブササービスがどのような情報を収集し、収集した情報がどのように使用されるかを知っておく必要があります。
利用料金についても、どのように、どんな方法で支払われるかを理解しておく必要があります。

オンラインショップやマッチングサービスなど、ある程度社会で認知されているサービスをリリースするのであれば、
既にあるサービスを参考にして利用規約を作ることも、できなくはなさそうです。
しかし、新しいビジネスモデルを採用したサービスや、より専門的なサービスとなると、
そのサービスが理解できない人には、どこに法的なリスクがあるのかを理解できないし、
そもそも、どんなルールを作ったらいいか、分からないのです。

利用規約を作るためには、法律以外にも、ある程度のITに関する知識が必要だと考えます。
ウェブサービスを普段使いしていて、クラウドサービスやアクセス解析がどのように動いているか理解している人だと、
そのことを説明する時間も省けます。

対話がしやすいかどうかは、依頼者の好みによる

士業のお仕事は、ほぼ、ご紹介によって成り立ちますが、
利用規約作成を依頼できるような、ウェブサービスについて理解がある士業は、
ご紹介では見つからない可能性が高く、
ご紹介で見つからない場合は、インターネットで検索して探すことになります。

ネットで探す場合、お打合せはZoomやGoogle Meetなどで行うことになるでしょう。
そのときの対話のしやすさも、依頼するときの一つのポイントになるかと思います。

ですが、対話のしやすさについては、正解がありません。
依頼者との相性というものがあるからです。

法務の仕事とエンジニア職の仕事は共通点があって、どちらも職人気質の方が多いです。
そして、職人気質の方は、あまり愛想をふりまきません。
研究者のような気配をまとっている人が多いように思えます。
ですが、彼らの多くは(不遜なひとも確かにいますが)、誠実な人柄です。

私はある程度お互いに愛想をしないと、不安になります。
依頼する側にも、「愛想などいらない。結果さえ出してくれればそれでよい」という志向の方がいることも知っています。
結局は、ご依頼する方が、どのようなタイプの人に依頼したいかで選べばよいと思います。

予算に余裕があれば、ウェブサービスそのものの法務チェックも頼む

利用規約作成を代行するサービスは、インターネット上で多く見受けられます。
元エンジニアの目で見て驚いたのは、利用規約を作成する方の多くが、
実際のウェブサービスの画面を確認することなく、
利用規約のみを作文として代行していることです。
クラウドソーシングなどの安価に引き受けるサービスで、その傾向は多く見られます。

安価で依頼した場合は、「サービスをざっと伝えて、すぐに利用規約を作成してもらう」という流れになるはずです。
それでもある程度の品質は保証できることだと思います。
ですが、このような進め方だと、次のことが起こらないか、心配です。
・利用規約とウェブサービスで使用している用語が異なる。たとえば「ユーザー」と「会員」とか。
・利用規約で説明しているサービス内容が、実際のサービス内容と異なっていることに、社内の誰も気が付かない。
・利用規約の設置方法に不備があり、利用規約そのものが無効となっている。

私は、ウェブサービスの画面を見ずに、利用規約だけを作成できるはずがないと思っています。
利用規約はウェブサービスの一部であり、ウェブサービスと連動するものです。

たしかに、ウェブサービスのチェックまで依頼していると、予算が高くなってしまいます。
スタートアップ時に十分な資金がある事業者は、そんなに多くはないでしょう。
そこで、もし利用規約の作成だけを外部にお願いして、画面のチェックまでしてもらえない場合は、
依頼者が責任をもって、上記の観点で利用規約におかしなところがないかを確認してみてください。

依頼するときに用意すること

最後に、利用規約作成の代行を依頼するときに、何を準備しておけばよいかを書いておきます。
私が受託をするときに提供してほしい情報や用意してほしいものは、次のようなことです。

・サービスの概要(サービス名なども含みます)
・サービスの画面(できたらテストログインしたいです)
・決済の方法など
・いつサービスがリリースされるか
・いつまでに利用規約が欲しいか
・Zoom、Google Meet、Skype等のお打合せが可能なツール

そして、その情報提供の前に、互いに秘密保持契約を交わしておくとよいでしょう。

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