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フリーランス・小規模事業者は下請法によって身を守る。相談先も紹介

この記事では、特にフリーランスに向けて、下請法に関する情報を整理します。
仕事上、法律で主張できることを知っておいてください。

身を守るための「下請法」

フリーランス・小規模事業者をやっていると、「仕事したけどとりっぱぐれた」
という経験を持っている人も多いことだと思います。

それ以外にも、たとえば大手の某テレビ局が、制作後に値引きを要求するような例もありました。
後にも書きますが、これは違法行為です。毅然とした態度をとりましょう。

下請法を知ろう

下請法は、正式には「下請代金支払遅延等防止法」といいます。

公正取引委員会のウェブサイトには、下請法の情報が満載。概要を知ることができます。

法律の言葉が頭に入らないという方のために、動画教材も作ってあります。

https://www.youtube.com/watch?v=cUIM84_0quI

対象となるのは4種類

下請法の対象となる取引は、大きく分けて4つあります。

  • 製造委託
  • 修理委託
  • サービス提供委託
  • 情報成果物作成委託

といったように、この法律は幅広く適用されます。
ライター、イラストレーター、エンジニアの作るものも「情報成果物作成委託」に含まれるので、下請法の適用を受けます。

ただし、たとえば建築は建設業法によって規定されているので、この法律からは除かれます。
また、出版物の著作物は適応されないようです。

下請法に該当するための条件

クライアントの資本金額によって、下請法が適用となるかどうか、わかれます。

1.物品の製造委託・修理委託・情報成果物作成委託・役務提供委託

親事業者の資本金が3億円を超えている → 資本金3億円以下の下請事業者が対象
親事業者の資本金が1千万円~3億円 → 資本金1千万円以下の下請事業者が対象

2.情報成果物作成委託・役務提供委託

親事業者の資本金が5千万円を超えている → 資本金5千万円以下の下請事業者が対象
親事業者の資本金が1千万円~5千万円 → 資本金1千万円以下の下請事業者が対象

フリーランス、小規模事業者のほとんどは、「資本金1千万円以下」でしょうから、
親事業者の資本金が1千万円あるかどうかが、下請法の適用となるかどうかの分かれ目ですね。

ただし、「プログラムの作成に係る情報成果物作成委託」については、親会社が三億円を超えていることが適用の条件です。
ややこしいですが、「プログラムの作成に係る情報成果物作成委託」のときは、親会社の資本金が一千万であっても下請法の適用はありません。

仕事の依頼主が法人でも、資本金が1千万円未満であれば、下請法の適用はありません。

親会社に課せられた義務

書面の交付義務・書面の保存義務

親会社は、口約束で仕事を発注することを禁止されています。
仕事を依頼するにあたって、書面にする法的な義務があります。
書面とは、発注書や注文書のことですね。
作った書類は、親会社が2年間保存する義務があります。

フリーランスも、大きい会社と仕事をするときは発注書をもらっているはずです。

支払期日を定める・遅延した場合の利息の払い義務

支払期日は、事前に定める義務があります。また、その支払期日は納品から60日以内にする義務があります。
支払われなかった場合、年14.6%の割合による遅延利息を支払わなければなりません。

契約書では「納品から一週間以内に検収」などとして検収の期間を定め、検収が終了したら納品とすることがありますが、
支払期日については検収日ではなく、製品を受け取った日から60日です。

親会社が禁止されていること

支払い遅延の禁止

上記でも触れましたが、製品を受け取ってから60日以内に支払う義務があります。

受領拒否の禁止

親会社が、正当な理由なく製品の受領を拒否することは禁止されています。
発注したものが注文したものと異なるときは、別です。このケースは適用されません。

代金の減額・返品の禁止

受注後に値引きを要求することは禁じられています。
また、取引の条件として値引きを要求することも禁じられます。

下請けに責任がない場合の、物品の受け取りを拒むことは禁止されています。
また、下請けに責任がない場合の、返品も禁止されています。

買いたたきの禁止

時々ニュースで聞きますが、あまりにも低い金額で買いたたくことを禁止しています。

不正な給付内容の変更・やり直しの禁止

納品後の変更、やり直しは禁止されています。
それでもやってあげようとする、やさしいフリーランスは多いですけどね。

割引困難な手形の交付

手形を現金化するのが難しい手形を交付するのは禁止されています。

親会社に直接接言えないときの対応

親会社が報復措置を行うことは禁止されています。
取引先を失うのが怖くて強く出られないという場合もあるでしょう。
その場合で、いくつか行動できることをあげておきます。

中小企業庁の下請けかけこみ寺に連絡する。

価格交渉の支援をうける
全国中小企業取引振興協会に価格交渉サポートというサービスがあります。
値切られない理論武装の相談にのってくれます。

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