アプリケーションやウェブサイト制作で漏洩するリスクのあるものは、経営企画、製品情報、マニュアル等でしょうか。
秘密を漏洩してしまった場合は、民事的責任または刑事的責任を追及されることが予想されます。
裁判となると、民事、刑事のどちらの追及を受けるかは、警察、弁護士の判断によるところが大きいので、ケースバイケースと言えます。
民事的責任の追及を受ける場合
民事裁判
営業秘密の使用の差止請求、営業秘密の漏えいによる損害賠償請求等を求めます。裁判は公開されます。公にされることを避けるのであれば、次のADRが選択されることもあります。
ADR(裁判外紛争解決手続)
裁判をせずに、公正中立な第三者が当事者間に入り、話合いを通じて解決図る手続きのこと。手続きは非公開とされます。
刑事的責任の追及を受ける場合
刑事的責任としては、以下の法律の罪に問われる可能性があります。
不正競争防止法
営業の秘密を漏洩した者に対する罰則が規定されています。
法令は長くなるのでこちらを参照してください。
不正競争防止法では、損害賠償について記述しているほかにも、もし裁判まで待っていたら被害が拡大する恐れ場ある場合のときのために、裁判所に対して、仮処分を申立てることができます。
仮処分については、侵害の停止または予防を請求することができます(差止請求)し、侵害行為を組成した物の廃棄、侵害行為に供した設備の除去、侵害の停止または予防に必要な行為を請求すること(廃棄除去請求)ができます。
さらに、「営業秘密」の漏洩によって粗悪品が出回るなど営業上の信用が害されたような場合には、信用を回復するための措置を求めること(信用回復の措置)ができます。
不正アクセス行為の禁止等に関する法律
第十一条 第三条の規定に違反した者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
刑法 電子計算機使用詐欺罪、背任罪、横領罪
第二百四十六条の二 前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、十年以下の懲役に処する。
第二百四十七条 他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第二百五十二条 自己の占有する他人の物を横領した者は、五年以下の懲役に処する。
2 自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した者も、前項と同様とする。
ただし、実際には、漏洩してしまった情報が、営業秘密に当たることを判定することは難しいです。
多くのNDA契約では、会話で交わされた情報は営業秘密から除外されているからです。
顧客リストの流出は、明らかにアウトなんでわかりやすけどね。
罪に問われるかどうかは関係なく、情報漏洩についてトラブルになれば、委託者、受託者両方のお仕事に甚大な影響があるのは間違いがないです。
健全に営業を続けるには、知財管理と、セキュリティの管理が不可欠ですね。
【関連記事】
本記事は、2018年06月26日公開時点での情報です。ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。
著者は予防法務を専門としております。
情報漏洩の被害に合われた場合、または情報を漏洩してしまった場合のご相談については、弁護士をご紹介いたします。